『書物の旅』(戸田勝久著)の新たな旅立ち
関西のTさんからのご依頼――『書物の旅』の革装本への改装。
おおまかな流れを以下にアップ。
綴じ糸を切り本をばらしていく。
必要ならこの時点で背の修理。
花ぎれを編む。
革を漉く。
革を貼る。
今回の革装本のために戸田さんにはモザイク用の線画と水彩画を描いてもらっている。
背タイトルを押す。
このあとシュミーズと函をつくったのだが制作中の撮影をするのをすっかり忘れてしまった。
戸田さんの水彩画。
これとはまたちがったイメージ。
書物にはそれぞれの旅がある。
2017年、この書物の新たな旅立ちである。
旅立ち
本日、『書物の旅』(戸田勝久著)A版の最後の一冊がB版とともに旅立っていった。
二冊同時に購入していただけるのはまったくもってありがたい。
これで悪友も購入の義務(?)から解放されたのですぐに帰国するかもしれない。
案外すでに帰国していて気配をさとられないようにしている可能性もある。
いずれにしてもこれで次回は堂々と購入をすすめられるというものだ\(^o^)/
それにしても意外なところに本好きの方が住まわれていらっしゃった。
僕の定番のサイクリングコースのひとつである。
自転車に乗っていてよかったー、とおもえる瞬間である!?
しかしこれがA版最後の一冊かとおもうと……
改めて写真を撮って、それから梱包をした。
『書物の旅』書影 その4
初版本というのをオリジナルと考える人もいますが、オリジナルってなんでしょう。
もともとの状態というのもたしかにオリジナルと言えるかもしれませんが、自分なりの考え方を盛り込んで変化させたものもオリジナルとおもいます。
本は変化成長していくもの、と考えることもできます。
初版信仰が強いとなかなか受け入れにくいとは思いますが……。
たとえば今回制作者という立場から、水仁舎用の本をアレンジしてみました。
以下の扉で使用した原画を
象嵌して、本に綴じ込んでみました。
原画ですから一点ものです。
そして原画には画家である著者の遊び心が。
その他にも、やり取りの現場(本文ページを使っての指示とそのやり取り)をそのまま本文ページに使いました。
左端の3本線は試し書きの跡。
以下の画像は上の画像と同一平面ですが、綴じ込むときに裏になります。
こうしていくと本は思い出深いものになっていきます。
豊かなものになっていきます。
まさしく『書物の旅』ですね。
『書物の旅』書影 その3
A版の口絵は著者による手描きオリジナル水彩画で一冊ずつすべて異なります
描き直しのむずかしい水彩で
これほどの描き込みのある口絵が送られてきたときには
身の引き締まる思いがしました
本に綴じ込みましたから上のような位置関係になります
また口絵はこのように
そっと開けてみるものなので
以下にアップの写真もこのように撮ったほうがよかった
といまおもっていますが、もう手許にありません
口絵の案内書をつくったときにスキャンしましたので、それをずらっと並べます
ちなみに上の口絵は水仁舎用にといただいたものです
なので誰にも見せませ〜ん♪
どの絵にもどこかに本が描かれています
誰にも見せないつもりでしたが
ちょっとだけ
描かれているのは水仁舎
戸田さんのなかで過大に美化されていて……
少々あせります(笑)。
『書物の旅』書影 その2
本文に印刷した図版は33点あり、そのすべてをここで再録するわけにはいかないのでランダムにアップします。
本文及び収録図版に関しては『書物の旅』B版に同じなので興味のある方はブログ内で検索してみてください(それでもすべてが見られるわけではありませんが)。
それではもどかしいという方は、またB版はいくらかありますのでご注文ください。
下記2点は画家である著者のオリジナルで原画はアクリルです。
下記2点は写真図版です。
著者によって撮影されたものです。
たのしい本にしたいという著者のまなざしを感じます。
本文中には3点カットがあります、
いずれも著者オリジナルです。
この本のために何点も描いてもらい、取捨選択は任せてもらいました。
本文編集をしながら全体の図版やカットのリズムを考える――仮綴じのB版そして革装のA版そのどちらにも違和感のないように――たのしいけれど、苦しい――苦しいけれどたのしい――いまはたのしい記憶だけがのこっています。
以下のカットは本文が終わった次のページに収めたものです。
A版では、製本を終えたあと著者によって
手彩色され、それを眺めている兎が描き込まれました。
そして落款、です。
お土産をまえに
『書物の旅』書影その2はすこしお待ちください。
カットや口絵などをアップしようとおもっていますが、あまりにたくさんで、どうアップすればいいのか迷っています。
全部をアップするのはとても無理ですが、数点だけというのももったいない。
特に口絵の著者オリジナル水彩画は一点ずつ異なり、できればすべてを見てほしいと思ってはいますが、ずらずら並べるのも芸がないし……。
旅のいっぱいのお土産をまえにしてたのしく悩んでいるところです。
あたたかな昼間、近所を歩きました。
一時間半歩き、けっこう汗をかきました。
『書物の旅』書影 その1
今回は『書物の旅』A版の製本関連をアップします。
挿絵関連は明日アップの予定。
斜め上から。
スリップケースからシュミーズごと本を取り出します。
シュミーズを開きます。
表紙の前景です。
ピースの色はこの他にも数パターンの組み合わせがあります。
背です。
製本年です。
サインもあります。
とりあえずこんなところで。
朝の空
あまりにきれいだったので写真に撮りたかったのだけど、時間が迫っていたのでホームでとおもったら、ホームの屋根で遮られて見えない。
もうちょっと早く家を出ていれば、とおもう。
こんな後悔をいままでどれだけしてきたことだろう。
でも逆にこれで一層かがやきを増す光景だってあるのだから後悔だって捨てたものじゃない。
さて、『書物の旅』A版、明日、明後日、明々後日、順次発送していきます。
長い旅もようやく終わります。
お待ち下さり、本当に本当にありがとうございました。
背タイトル箔押し
さて残るは箔押しのみ。
背タイトルと見返し側への箔押し、それとスリップケース下へのポチッと箔押し。
ニ、三日休んでから箔押しに取りかかりたいというのが正直なところであるが、ニ、三日休んだらそのまま行方をくらましてしまいそうな気がするので、ムチ打ってアトリエに立つ。
キャイ〜〜〜ン!
僕が犬ならきっとこんなふうに鳴いていたに違いない。
活字をホルダーに組んでプロポーションを考える。
元気なときにはこれには大いに迷うのだが、疲れていると割りにすんなり決まる。
ということはなく、やはり迷う。
といっても表紙のモザイクデザインを考える際、おおよその線は考えていたので微調整の範囲。
でも、最終決定までには半日かかってしまった。
ということで背タイトル箔押しに取りかかる。
ということで明日は銀座。
ということで著者献呈分を小脇にかかえているはず(たぶん)。
- Calendar
-
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
- PR
- Selected Entries
-
- 『書物の旅』(戸田勝久著)の新たな旅立ち (09/21)
- 改装 (09/18)
- 旅立ち (04/22)
- 『書物の旅』書影 その4 (11/26)
- 『書物の旅』書影 その3 (11/26)
- 『書物の旅』書影 その2 (11/26)
- お土産をまえに (11/26)
- 『書物の旅』書影 その1 (11/25)
- 朝の空 (11/20)
- 背タイトル箔押し (11/09)
- Categories
-
- その他 (1844)
- 本造りに関して (1308)
- 『ラブレター』制作 (10)
- 『書物の旅』革装本 (75)
- う〜む (273)
- お知らせ (40)
- ころな (1)
- サイクリング (160)
- シイタケ (3)
- スマホ (3)
- パソコン (34)
- ブログ (3)
- 印刷 (18)
- 運動 (6)
- 映画 (14)
- 園芸 (5)
- 音楽 (6)
- 家具 (1)
- 家具 (3)
- 家族 (48)
- 蕎麦や漱石 (6)
- 近代建築 (19)
- 言葉 (21)
- 個展関連 (45)
- 自転車 (46)
- 食 (56)
- 食器 (9)
- 選挙 (6)
- 挿絵本 (83)
- 鉄道 (3)
- 天気 (68)
- 道具 (4)
- 読書 (47)
- 函 (92)
- 美術 (227)
- 舞台 (9)
- 夢 (2)
- 友人 (72)
- 料理 (20)
- Archives
-
- April 2020 (2)
- September 2019 (1)
- April 2019 (1)
- March 2019 (1)
- February 2019 (1)
- January 2019 (3)
- December 2018 (3)
- October 2018 (7)
- September 2018 (4)
- August 2018 (7)
- July 2018 (21)
- June 2018 (21)
- May 2018 (19)
- April 2018 (26)
- March 2018 (30)
- February 2018 (26)
- January 2018 (28)
- December 2017 (23)
- November 2017 (26)
- October 2017 (30)
- September 2017 (17)
- August 2017 (21)
- July 2017 (27)
- June 2017 (28)
- May 2017 (30)
- April 2017 (28)
- March 2017 (28)
- February 2017 (10)
- January 2017 (4)
- December 2016 (8)
- November 2016 (4)
- October 2016 (5)
- August 2016 (2)
- July 2016 (5)
- June 2016 (9)
- May 2016 (11)
- April 2016 (30)
- March 2016 (18)
- February 2016 (23)
- January 2016 (31)
- December 2015 (31)
- November 2015 (30)
- October 2015 (31)
- September 2015 (30)
- August 2015 (31)
- July 2015 (31)
- June 2015 (27)
- May 2015 (31)
- April 2015 (30)
- March 2015 (31)
- February 2015 (19)
- January 2015 (31)
- December 2014 (34)
- November 2014 (30)
- October 2014 (31)
- September 2014 (29)
- August 2014 (31)
- July 2014 (31)
- June 2014 (30)
- May 2014 (31)
- April 2014 (30)
- March 2014 (31)
- February 2014 (28)
- January 2014 (31)
- December 2013 (31)
- November 2013 (28)
- October 2013 (31)
- September 2013 (28)
- August 2013 (31)
- July 2013 (31)
- June 2013 (22)
- May 2013 (31)
- April 2013 (30)
- March 2013 (31)
- February 2013 (28)
- January 2013 (31)
- December 2012 (30)
- November 2012 (30)
- October 2012 (23)
- September 2012 (28)
- August 2012 (31)
- July 2012 (31)
- June 2012 (30)
- May 2012 (32)
- April 2012 (30)
- March 2012 (30)
- February 2012 (29)
- January 2012 (31)
- December 2011 (31)
- November 2011 (30)
- October 2011 (30)
- September 2011 (30)
- August 2011 (24)
- July 2011 (1)
- June 2011 (22)
- May 2011 (31)
- April 2011 (31)
- March 2011 (30)
- February 2011 (28)
- January 2011 (31)
- December 2010 (32)
- November 2010 (25)
- October 2010 (30)
- September 2010 (31)
- August 2010 (30)
- July 2010 (34)
- June 2010 (30)
- May 2010 (31)
- April 2010 (32)
- March 2010 (30)
- February 2010 (28)
- January 2010 (31)
- December 2009 (32)
- November 2009 (32)
- October 2009 (31)
- September 2009 (29)
- August 2009 (32)
- July 2009 (32)
- June 2009 (29)
- May 2009 (31)
- April 2009 (31)
- March 2009 (30)
- February 2009 (28)
- January 2009 (31)
- December 2008 (31)
- November 2008 (30)
- October 2008 (32)
- September 2008 (32)
- August 2008 (33)
- July 2008 (31)
- June 2008 (31)
- May 2008 (30)
- April 2008 (31)
- March 2008 (31)
- February 2008 (30)
- January 2008 (30)
- December 2007 (34)
- November 2007 (30)
- October 2007 (31)
- September 2007 (30)
- August 2007 (29)
- July 2007 (31)
- June 2007 (30)
- May 2007 (32)
- April 2007 (32)
- March 2007 (31)
- February 2007 (28)
- January 2007 (31)
- December 2006 (31)
- November 2006 (30)
- October 2006 (32)
- September 2006 (33)
- August 2006 (32)
- July 2006 (30)
- June 2006 (30)
- May 2006 (32)
- April 2006 (30)
- March 2006 (31)
- February 2006 (29)
- January 2006 (31)
- December 2005 (31)
- November 2005 (31)
- October 2005 (31)
- September 2005 (30)
- August 2005 (31)
- July 2005 (31)
- June 2005 (30)
- May 2005 (31)
- April 2005 (30)
- March 2005 (31)
- February 2005 (28)
- January 2005 (31)
- December 2004 (31)
- November 2004 (30)
- October 2004 (30)
- September 2004 (30)
- August 2004 (31)
- July 2004 (5)
- Recent Comment
-
- 日曜日?
⇒ キタミ (09/12) - 日曜日?
⇒ 元少女 (09/10) - 日曜日?
⇒ 元少女 (09/10) - 日曜日?
⇒ キタミ (09/07) - 日曜日?
⇒ 元少女 (09/06) - 日曜日?
⇒ キタミ (08/29) - 日曜日?
⇒ 元少女 (08/29) - ノートルダム大聖堂
⇒ キタミ (04/24) - ノートルダム大聖堂
⇒ ykom (04/23) - ノートルダム大聖堂
⇒ キタミ (04/17)
- 日曜日?
- Recent Trackback
-
- 感情移入
⇒ オオクワガタ大型美形養殖技術マニュアル (11/12) - 脱ノウハウ
⇒ matsukatsu BLOG (12/05) - 掌のうえの記憶
⇒ ウィリアム・モリス情報ブログ (04/15) - 入山峠
⇒ 悠々バイシクルライド+{全車道に自転車専用レーン} (01/08) - 折り
⇒ booplog (11/08) - 習得することと習うこと
⇒ 生活日報 (06/23) - 前略、ご免下さい
⇒ 健康関連 (06/10) - 始まり
⇒ 日刊カタログ (05/09) - 春一番
⇒ the Chamber of Joker (02/23) - 文字が立ち上がってくる
⇒ 生活日報 (10/06)
- 感情移入
- Profile
- Search this site.
- Mobile