閉店
HPを見ていたので閉店することは知っていた。
それで年越し蕎麦を食べに行こうかどうしようか考えていたところ、「年末は忙しいので来られるのなら年明けてからがいいとおもいます」というメールが来たので、一月中に行こうとおもっていた。
ところがこちらも一月は忙しく、「二月はどうですか?」とメールを出すと二月は無理ということで、結局三度目の南阿蘇は断念せざるを得なかった。
引っ越し先のお知らせハガキが届いたのは二ヶ月ほどまえ。
もうあの蕎麦を食べることはできないのかと思うとやはりちょっとくらい無理をしてでも行っておけばよかった、と今更ながらおもう。
そんな未練な気持ちでHPをクリックすると、こんな告知(★)がなされていた。
興味のある方は連絡してみてください。
年越し蕎麦
ちょっと早いが年越し蕎麦を食べに行く、九州南阿蘇の「蕎麦や漱石」さんまで。
前日の天気予報では熊本に雪マークが出ていたのでたどりつけるかどうか、やや心配だった。
例年より10日くらい早い雪らしい。
8日、9日と漱石さんの蕎麦を家族三人でこころゆくまで食べた。
漱石のご夫婦もお元気そうで、うれしい!
帰りは空港まで送っていただいて、ありがとうございました!
これは本日の画像。
雪のなかに蕎麦や漱石さんが。
最寄り駅の長陽駅。
長陽駅では駅舎を改造した「久永屋」さんへ。
二年前に「旅のおひと〜」と動き出した列車の窓に走り寄られて、CDに関するメモを渡してくれた若いご主人の表情が忘れられない。
西への旅 その3 蕎麦や漱石
早朝パリを発って、
もういいって? はい。
京都を発って九州の「蕎麦や漱石」に向かいます。
朝早いのと、博多に向かうにつれトンネルが多くなり、うつらうつら。
博多からリレーつばめで熊本に向かいます。
熊本からは豊肥線。
立野でさらに南阿蘇鉄道に乗り換え、やっと阿蘇は長陽の駅です。
「漱石」を目指します。
歩きます。
さらに歩きます。
もうすぐです。
本当にもうすぐです(笑)。
蕎麦屋らしからぬ普通の建物。
3年ぶりの漱石。
奥様が笑顔でお店のまえで出迎えてくれました。
積もる話もそこそこに早速注文します。
以前のように2枚注文します。
まずは朝碾(あさびき)から。
生きててよかった、と心からおもいます。
下の画像は色がうまく再現されていません。
更科とはまったく違います。
実際はほんのりとした緑色です。
続いて、玄舞(くろまい)。
辛み大根と塩、どちらも合います。
旨いだけで九州までわざわざ蕎麦を食べに行くほど酔狂ではありませんし、またそんな経済的時間的余裕もありません。
でもそれを押してまで向かわせるものが「漱石」の蕎麦にはあります。
とにかく凄い蕎麦です!
しかし自然のものです。
特に今年の異常気象には泣かされたようです。
でもそれを差し引いても、というより、そんな自然をもまるごといただいているという、とても謙虚になれる蕎麦です。
売り切れ仕舞い、行かれる方は連絡のうえのほうがいいかとおもいます。
「漱石」のHPはここです。
さて蕎麦のあとは温泉に出かけます。
漱石のご夫婦とわれわれ二人と積もる話で夜は更けていきました。
蕎麦や漱石の蕎麦の食べ方
そのほうがそれぞれの産地の蕎麦の味と香りのちがいをたのしめます。
次に蕎麦に直接ワサビをつけて汁(つゆ)にはつけず、いただきます。
蕎麦の香りとワサビの香りが鼻に抜けていきます――植物の力を感じる一瞬です。
その次にワサビをつけた蕎麦をちょっとだけ汁(つゆ)につけ、いただきます。
薬味のネギは、汁(つゆ)に入れて蕎麦といっしょに食べるのもよいですが、残った汁(つゆ)を蕎麦湯でいただくときにいっしょにするのもなかなかよいです。
注意することは、どの場合でもズズッと音をさせること――耳でも味わうことが大切です。
ワサビは汁(つゆ)には溶かさないほうが、ワサビ本来の香りがたのしめるとおもいます。
そのほうが蕎麦の味と香りをいっそう引き立てます。
朝碾(盛り蕎麦)と玄舞(くろまい)の二枚を食する場合は、玄舞をあとにしたほうがよいかもしれません。
辛み大根や塩で食べる玄舞は味が強いため、先に口にしてしまうと盛り蕎麦の味が分かりにくくなってしまうためです。
もちろんどんなふうに食べてもよいですが、蕎麦、汁(つゆ)、蕎麦湯、ワサビ(本ワサビです)とどれもがそれぞれに一本立ちしていますので、こういう食べ方が可能なわけです。
漱石さんに行かれる方は一度是非お試しあれ。
画像は南阿蘇鉄道の車窓からの眺め。
再会、蕎麦や漱石
とは言っても「鉄分」過剰摂取な息子がいるため、それなりに「鉄の道」のプランも組み込んであります(組み込まれてあります)。
が、メインは「蕎麦や漱石」さんの蕎麦とそのご家族です。
「蕎麦や漱石」さんについては過去のブログを参照してください。
今回の旅については様々な想いが錯綜し、いまはまだ整理できません。
仕事への厳しさと人への思いやりで打たれた蕎麦を口にした瞬間に溢れそうになるものを堪えるだけで精一杯でした。
蕎麦も汁も蕎麦湯もとにかく美味しく、幸福感でいっぱいになります。
「蕎麦や漱石」さんが西東京市から九州に移転されたとき、以前取材のあった「dancyu(ダンチュウ)」という雑誌が再び「蕎麦や漱石」さんを取り上げたのもおおいに頷けます。
こんなことを僕が書くのは「蕎麦や漱石」を過去の伝説にしたくないのです。
なにしろ味は最高ですが、宣伝はものすごく下手なお店です。
こんな世の中です。
どんな分野のものでもよいのですが、「良きもの」がひとつでも多く残ることがとても意味のある大切なことだと僕はおもっています。
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