2005.11.01 Tuesday
『中庭の風』、これから
『中庭の風』の色校正が終了。挿絵が戸田さんの手を離れ、僕にゆだねられた。
本日、山田商会から表紙用の和紙が届き、これですべての材料がそろったことになる。
あとはこれらが生きるよう、「本」になるよう、僕が心を砕くだけである。
それにしてもはじめの打ち合わせから、原案、色校正終了までの戸田さんとのやり取りはおもしろかった。
初のやり方をしたためもあるが、ひとつひとつが積み上がっていく具体的な感覚が味わえたことがうれしい。
そしてそれは物をつくっていく上でとても大切なことである。
さあ、これからこれから!
2005.11.02 Wednesday
天小口の表情
納期的に無理な場合を除いて、水仁舎の本の天小口は上の写真のような切り口になっている。
どのような紙を使うか、どのように切っていくかによって、その切り口の表情は微妙に異なるが、断裁機でスパッと切ったような強制的な味気無さからは逃れられているのでは、とおもっている。
ページ数や部数によっても異なるが、何千回から場合によっては一万を超える回数、手を動かすことになる(それ以上はひとりの人間の手でする範囲ではない)。
もちろんこれは一例に過ぎないが、こういう表情、手間のかけ方の積み重ねによって、本ははじめて「本」になる、とおもう。
そしてそうやって出来上がった本は「おれが、おれが」という“でしゃばり”な主張をしない。個性はあるが不思議と手に馴染む、と僕はおもっている。
2005.11.03 Thursday
ロールキャベツ
祭日なので(という理由にして)ゆっくりのスタート。夕方まで仕事をして夕飯の材料を買いに出る。
今週はじめ、家人が仕事先で階段を踏み外し足を捻挫しているので一人で買い物。
明日の子供の弁当も(つまりは僕のお昼)決めなければならない。
野菜コーナー、肉コーナーのまえをうろうろ。
なかなか決まらない。
昼間お隣から採れたてのキャベツを貰ったことを思い出し、夕飯はロールキャベツに決定する。
というわけであと数分煮込んだら出来上がりである。
ふー、疲れた。
今週はじめ、家人が仕事先で階段を踏み外し足を捻挫しているので一人で買い物。
明日の子供の弁当も(つまりは僕のお昼)決めなければならない。
野菜コーナー、肉コーナーのまえをうろうろ。
なかなか決まらない。
昼間お隣から採れたてのキャベツを貰ったことを思い出し、夕飯はロールキャベツに決定する。
というわけであと数分煮込んだら出来上がりである。
ふー、疲れた。
2005.11.04 Friday
三角コーナーポケット
今回の仕事でけっこう手間の掛かるのは保護ジャケットの三角コーナーポケットの切り出しである。
『ジャンヌの涙』と基本的には同じであるが、今回の『中庭の風』のそれには絵があり(というより三角という形状がそのまま屋根の庇となっている)、その分切り出しには注意が必要である。
庇の傾斜を基準に三角形の直角を切り出さなければならない、というのが今回はひと手間である。そののち更に折ったときに三角になるように変型させていく(画像は変型後)。
さすがにひとつずつ手で切り出すわけにはいかないので断裁機を利用するが、見当の付け方と紙押さえに一工夫しなければならない。
多少のバラツキは出るだろうが、絵のバランスを崩さないよう、ズレ方にも気をつけなければならない。
この三角形、予想していたよりもちょっとだけ時間がかかりそうだ。
2005.11.05 Saturday
小春日和というには
小春日和というには暑い。
そもそも日中寒いと感じられる日があまりないので、有り難味を感じない。それどころか、ただでさえアトリエは日当たりがいいので、昼間は窓を開けないと仕事をやっていられない。
地球温暖化があちこちで叫ばれているが、一体この先どうなってしまうのだろう。困ったものだ。
などと思いつつ、昨日の三角コーナーの切り出し。つづいて本文を断裁機にいれる。
天以外を断裁するのだが、切り揃えるためではない。意図的に切り揃えないようにするという、製本所の職人が聞けば「なんのこっちゃ?」というばかばかしく手間の掛かることをしている。
しかしこうすると機械を使っても機械の跡はほぼ消えるし、和紙の表紙ともよく馴染むようになる。
地球温暖化によって季節の差が小さくなってくると人間の持っている感じる力もまた小さくなってくるという。
そういうなかでこのようなつくり方、考え方は一体どれほどの意味があるのだろうか。
意識して五感を働かせないといけないな、とおもう今日この頃である。
そもそも日中寒いと感じられる日があまりないので、有り難味を感じない。それどころか、ただでさえアトリエは日当たりがいいので、昼間は窓を開けないと仕事をやっていられない。
地球温暖化があちこちで叫ばれているが、一体この先どうなってしまうのだろう。困ったものだ。
などと思いつつ、昨日の三角コーナーの切り出し。つづいて本文を断裁機にいれる。
天以外を断裁するのだが、切り揃えるためではない。意図的に切り揃えないようにするという、製本所の職人が聞けば「なんのこっちゃ?」というばかばかしく手間の掛かることをしている。
しかしこうすると機械を使っても機械の跡はほぼ消えるし、和紙の表紙ともよく馴染むようになる。
地球温暖化によって季節の差が小さくなってくると人間の持っている感じる力もまた小さくなってくるという。
そういうなかでこのようなつくり方、考え方は一体どれほどの意味があるのだろうか。
意識して五感を働かせないといけないな、とおもう今日この頃である。
2005.11.06 Sunday
食が進む
今日の気温はたぶん平年並み。でも昨日が昨日だっただけにやけに寒い。
昼頃から雨も降り出すと、熱い珈琲がよりいっそう旨しく感じられる。こころもち揺する感じで掌のなかのカップで暖も取る。
と書くと、ちょっと季節を先取り、か。
広岡さんからお漬物をいただく。夕食にさっそく一袋をあける。ご飯が進む。食べ過ぎる。眠い。日本に生まれてよかったぁ、心底そう思う。
仕事のことも書くつもり、だったが、血液がすべて胃に集まっているようなので、今日はここまで。
昼頃から雨も降り出すと、熱い珈琲がよりいっそう旨しく感じられる。こころもち揺する感じで掌のなかのカップで暖も取る。
と書くと、ちょっと季節を先取り、か。
広岡さんからお漬物をいただく。夕食にさっそく一袋をあける。ご飯が進む。食べ過ぎる。眠い。日本に生まれてよかったぁ、心底そう思う。
仕事のことも書くつもり、だったが、血液がすべて胃に集まっているようなので、今日はここまで。
2005.11.07 Monday
折り
本文と、画面真ん中あたりに口絵と後ろ見返しの空がある。これらを折っていく。中綴じであるが、四六110キロの紙が9葉重なると思いのほか骨が折れる。
それでもなんとか折り終わる。
昨日漬物のことを書いたからというわけではないが、漬物石を重石にして、一日折りを寝かせる。
明日は表紙に取り掛かる予定。
以上。
2005.11.08 Tuesday
表紙箔押し
今日は表紙である。
天地は仕上がり寸法。左右は後で加工をするので30ミリほど大きく取って切り出す。
位置決めをして版を磨いたらセッティング。ムラ取りをして後はただひたすら箔を押していく。
手許が狂ったり、押しの時間がちょっと長かったり(0.2秒ほど)して15枚ほど反故になるが、予想したほどの失敗もなく無事終了。
しかし表紙はまだ終わっていない。
小口の繊維をほぐして表紙は完了となるが、これは明日に持ち越し。
今日は店じまいとする。
天地は仕上がり寸法。左右は後で加工をするので30ミリほど大きく取って切り出す。
位置決めをして版を磨いたらセッティング。ムラ取りをして後はただひたすら箔を押していく。
手許が狂ったり、押しの時間がちょっと長かったり(0.2秒ほど)して15枚ほど反故になるが、予想したほどの失敗もなく無事終了。
しかし表紙はまだ終わっていない。
小口の繊維をほぐして表紙は完了となるが、これは明日に持ち越し。
今日は店じまいとする。
2005.11.09 Wednesday
表紙の切り口
三年に一度のガスの点検の日ということをすっかり忘れていた。ガスレンジを見るとひどく汚れている。うーん、さすがにちょっと。というわけで慌ててレンジ周りを掃除。こうなると換気扇までやらないと気が済まない不憫な性格。午前中ほとんどがこれで終わる。
気を取り直して表紙の仕上げ。
小口を切り裂いて紙の繊維をほぐす。
和紙の繊維はやわらかく、手で触れても目で見てもなんだかほっとする。
一方、天と地は断裁機でスパッと切ったまま。
こうするとほどよい緊張が生まれるし、切り裂いた小口がより活きることにもなる。
三方のチリも天地は各1ミリ、小口は2ミリほどに設定。いわゆるセオリーからすればイレギュラーだが、この本の場合は全体のバランスからそうした方がより良いと判断する(そう判断する理由はいくつかあるがいまは纏める余裕がない)。
緊張――アクセントと呼び変えてもいいかもしれないが、それをどこにどんなふうに盛り込めるかが、物を成立させる要件のひとつではないだろうか。
気を取り直して表紙の仕上げ。
小口を切り裂いて紙の繊維をほぐす。
和紙の繊維はやわらかく、手で触れても目で見てもなんだかほっとする。
一方、天と地は断裁機でスパッと切ったまま。
こうするとほどよい緊張が生まれるし、切り裂いた小口がより活きることにもなる。
三方のチリも天地は各1ミリ、小口は2ミリほどに設定。いわゆるセオリーからすればイレギュラーだが、この本の場合は全体のバランスからそうした方がより良いと判断する(そう判断する理由はいくつかあるがいまは纏める余裕がない)。
緊張――アクセントと呼び変えてもいいかもしれないが、それをどこにどんなふうに盛り込めるかが、物を成立させる要件のひとつではないだろうか。
2005.11.10 Thursday
中綴じ糸縢り
縢りである。中綴じ300部なので今日と明日の二日間で上げたいが、いまのペースでいくと難しいかもしれない。
いや、これから加速度的に速くなるはずだが、まあ無理せず頑張ることにしよう。
というわけでこれから続きをするので、短めのブログ。
| 1/4 pages | >>
- PR
- Selected Entries
-
- 『中庭の風』、これから (11/01)
- 天小口の表情 (11/02)
- ロールキャベツ (11/03)
- 三角コーナーポケット (11/04)
- 小春日和というには (11/05)
- 食が進む (11/06)
- 折り (11/07)
- 表紙箔押し (11/08)
- 表紙の切り口 (11/09)
- 中綴じ糸縢り (11/10)
- Categories
-
- その他 (1844)
- 本造りに関して (1308)
- 『ラブレター』制作 (10)
- 『書物の旅』革装本 (75)
- う〜む (273)
- お知らせ (40)
- ころな (1)
- サイクリング (160)
- シイタケ (3)
- スマホ (3)
- パソコン (34)
- ブログ (3)
- 印刷 (18)
- 運動 (6)
- 映画 (14)
- 園芸 (5)
- 音楽 (6)
- 家具 (3)
- 家具 (1)
- 家族 (48)
- 蕎麦や漱石 (6)
- 近代建築 (19)
- 言葉 (21)
- 個展関連 (45)
- 自転車 (46)
- 食 (56)
- 食器 (9)
- 選挙 (6)
- 挿絵本 (83)
- 鉄道 (3)
- 天気 (68)
- 道具 (4)
- 読書 (47)
- 函 (92)
- 美術 (227)
- 舞台 (9)
- 夢 (2)
- 友人 (72)
- 料理 (20)
- Archives
-
- April 2020 (2)
- September 2019 (1)
- April 2019 (1)
- March 2019 (1)
- February 2019 (1)
- January 2019 (3)
- December 2018 (3)
- October 2018 (7)
- September 2018 (4)
- August 2018 (7)
- July 2018 (21)
- June 2018 (21)
- May 2018 (19)
- April 2018 (26)
- March 2018 (30)
- February 2018 (26)
- January 2018 (28)
- December 2017 (23)
- November 2017 (26)
- October 2017 (30)
- September 2017 (17)
- August 2017 (21)
- July 2017 (27)
- June 2017 (28)
- May 2017 (30)
- April 2017 (28)
- March 2017 (28)
- February 2017 (10)
- January 2017 (4)
- December 2016 (8)
- November 2016 (4)
- October 2016 (5)
- August 2016 (2)
- July 2016 (5)
- June 2016 (9)
- May 2016 (11)
- April 2016 (30)
- March 2016 (18)
- February 2016 (23)
- January 2016 (31)
- December 2015 (31)
- November 2015 (30)
- October 2015 (31)
- September 2015 (30)
- August 2015 (31)
- July 2015 (31)
- June 2015 (27)
- May 2015 (31)
- April 2015 (30)
- March 2015 (31)
- February 2015 (19)
- January 2015 (31)
- December 2014 (34)
- November 2014 (30)
- October 2014 (31)
- September 2014 (29)
- August 2014 (31)
- July 2014 (31)
- June 2014 (30)
- May 2014 (31)
- April 2014 (30)
- March 2014 (31)
- February 2014 (28)
- January 2014 (31)
- December 2013 (31)
- November 2013 (28)
- October 2013 (31)
- September 2013 (28)
- August 2013 (31)
- July 2013 (31)
- June 2013 (22)
- May 2013 (31)
- April 2013 (30)
- March 2013 (31)
- February 2013 (28)
- January 2013 (31)
- December 2012 (30)
- November 2012 (30)
- October 2012 (23)
- September 2012 (28)
- August 2012 (31)
- July 2012 (31)
- June 2012 (30)
- May 2012 (32)
- April 2012 (30)
- March 2012 (30)
- February 2012 (29)
- January 2012 (31)
- December 2011 (31)
- November 2011 (30)
- October 2011 (30)
- September 2011 (30)
- August 2011 (24)
- July 2011 (1)
- June 2011 (22)
- May 2011 (31)
- April 2011 (31)
- March 2011 (30)
- February 2011 (28)
- January 2011 (31)
- December 2010 (32)
- November 2010 (25)
- October 2010 (30)
- September 2010 (31)
- August 2010 (30)
- July 2010 (34)
- June 2010 (30)
- May 2010 (31)
- April 2010 (32)
- March 2010 (30)
- February 2010 (28)
- January 2010 (31)
- December 2009 (32)
- November 2009 (32)
- October 2009 (31)
- September 2009 (29)
- August 2009 (32)
- July 2009 (32)
- June 2009 (29)
- May 2009 (31)
- April 2009 (31)
- March 2009 (30)
- February 2009 (28)
- January 2009 (31)
- December 2008 (31)
- November 2008 (30)
- October 2008 (32)
- September 2008 (32)
- August 2008 (33)
- July 2008 (31)
- June 2008 (31)
- May 2008 (30)
- April 2008 (31)
- March 2008 (31)
- February 2008 (30)
- January 2008 (30)
- December 2007 (34)
- November 2007 (30)
- October 2007 (31)
- September 2007 (30)
- August 2007 (29)
- July 2007 (31)
- June 2007 (30)
- May 2007 (32)
- April 2007 (32)
- March 2007 (31)
- February 2007 (28)
- January 2007 (31)
- December 2006 (31)
- November 2006 (30)
- October 2006 (32)
- September 2006 (33)
- August 2006 (32)
- July 2006 (30)
- June 2006 (30)
- May 2006 (32)
- April 2006 (30)
- March 2006 (31)
- February 2006 (29)
- January 2006 (31)
- December 2005 (31)
- November 2005 (31)
- October 2005 (31)
- September 2005 (30)
- August 2005 (31)
- July 2005 (31)
- June 2005 (30)
- May 2005 (31)
- April 2005 (30)
- March 2005 (31)
- February 2005 (28)
- January 2005 (31)
- December 2004 (31)
- November 2004 (30)
- October 2004 (30)
- September 2004 (30)
- August 2004 (31)
- July 2004 (5)
- Recent Comment
-
- 日曜日?
⇒ キタミ (09/12) - 日曜日?
⇒ 元少女 (09/10) - 日曜日?
⇒ 元少女 (09/10) - 日曜日?
⇒ キタミ (09/07) - 日曜日?
⇒ 元少女 (09/06) - 日曜日?
⇒ キタミ (08/29) - 日曜日?
⇒ 元少女 (08/29) - ノートルダム大聖堂
⇒ キタミ (04/24) - ノートルダム大聖堂
⇒ ykom (04/23) - ノートルダム大聖堂
⇒ キタミ (04/17)
- 日曜日?
- Recent Trackback
-
- 感情移入
⇒ オオクワガタ大型美形養殖技術マニュアル (11/12) - 脱ノウハウ
⇒ matsukatsu BLOG (12/05) - 掌のうえの記憶
⇒ ウィリアム・モリス情報ブログ (04/15) - 入山峠
⇒ 悠々バイシクルライド+{全車道に自転車専用レーン} (01/08) - 折り
⇒ booplog (11/08) - 習得することと習うこと
⇒ 生活日報 (06/23) - 前略、ご免下さい
⇒ 健康関連 (06/10) - 始まり
⇒ 日刊カタログ (05/09) - 春一番
⇒ the Chamber of Joker (02/23) - 文字が立ち上がってくる
⇒ 生活日報 (10/06)
- 感情移入
- Profile
- Search this site.
- Mobile